ハチミツ×シュガー
「なんで、怒ってるの?」
抱き締められたままのせいで、声はくぐもってる。
「はぁ……普通さ、俺といる時に他のヤツと帰る約束する?
ちょっと、…いや、かなりムカついた」
ああ、そうか。
……確かに、酷いわよね。
「あの、――本当にごめんなさいっ」
言葉だけじゃなく、気持ちが伝わるように、彼の背中に手を回した。
「ふっ……いや、俺も恐がらせてごめん」
鼻から抜ける笑いをして、私の首筋にキスを落とす。
「ひゃあっ」
「くっくっくっ
これで許してやる」
くすぐったくて、恥ずかしくて。
私が真っ赤になって、口をパクパクさせてるのを笑いながら、足元のカバンを持った。
「ほら、口尖らせてないで行くぞ」
さっきまでの不機嫌が嘘のように、意地悪くニヤリとすると、カバンを私に差し出した彼。
「西城くんも一緒に帰るの?」
「……悪いけど俺の獲物だからな」
その一言が小さな声過ぎて……私には聞き取れなかった。
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