ハチミツ×シュガー



「へえ〜。
 誰なのかしら?」



 ニッコリと。仮面のような笑みを見せて私に向かい合う真弓。

 ……かなり、怖い。



「――あの、西城くんがあの時様子見に来てくれたらしくて……学ランを貸してくれてね」



 あ…そういえば。



『あれは……牽制みたいなもんだから』

『お前を保健室に運んだヤツ。』



「ねぇ真弓。私が倒れた時運んでくれたのって、真弓だよね?」


 ふと思い出し、聞いてみた。




「は? 私の細腕で人一人運べるわけないでしょ?

 斉藤がお姫さま抱っこでここまで運んだの。クラスの女子達がキャーキャーうるさかったんだから。
 っていうか、知らなかったの?」



「……知らなかった」



“牽制”って……じゃあ、斉藤くんに対して?


 何のために?



 真弓が私の黒髪をいじってる中、私はモヤモヤしていた。



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