ハチミツ×シュガー



「……皇っ!」


 私はお兄さんの腕を振り切って、皇にしがみついた。



「楓…」


 皇も私があまりにもしっかり抱きついているせいか、抱きしめ返してきて。



「あちゃー、男連れか。 邪魔して悪かったな」

 後ろから聞こえたお兄さんの言葉は、印象そのままに。軽く詫びてそのまま去って行った。




「楓、大丈夫か?」


 いつもよりも柔らかい、皇の声がする。



「う、ん……ごめん。びっくりしちゃって…」


 公共の場で抱きついてる事に恥ずかしくなってきて。

 おずおずと離れた。




「怖かったよな?
 一人にして悪かった」


 そう言って、私の手を握って、おでことおでこをくっつける皇。



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