ハチミツ×シュガー



「待ち合わせに来たんじゃなかったのか?」



 目の前には、表情変えず私を見下ろす西城くん。



「えっ…と

 ――忘れ物が、あって…?」



 ……どうしよ(泣)。



 彼と目を合わせられず、言い訳を必死で考えてる私をジッと見つめる西城くん。



「……忘れ物、ねぇ…」


 呟いて、目を細めて私を見下ろす。


 ――明らかに信じてないよね、絶対。




「帰ろうとしてた訳じゃないんだな?」

「そんな事っ」


『無い』と彼を見た瞬間――

 優しい笑顔が、そこにあった。




「じゃあ、取りに帰るか」


 そう言って私の手を握り、来た道を戻ろうと歩き始めた彼。




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