ハチミツ×シュガー



 空き教室で私が逃げたあの日から。

 彼は私と、目を合わせなくなった。


 隣の席なのに、会話もしない。




 完全に、クラス替えの頃に戻ったみたい。







 私は『好き』だと気づいた瞬間から、手放したんだ。



 怖くて……


 自分の気持ちに追い付けなくて。





『逃げないで』



 あんな苦しそうな声で言われたのに――…。






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