ハチミツ×シュガー



「やっぱり如月だった!
 さっき窓から見てただろ?」


 いつものように、人懐っこい笑顔で私に話しかける彼。


「――斉藤、くん」



 ……間違えるところだった。



「如月は図書室好きなんだな」

「……う、ん…。静かで落ち着くから」



 間違えてしまった事に気付かれないように、俯きながら本をしまうと、少し勢い良く手を引っ込めてしまった。


 そんな事を気にもしてない斉藤くんは、変わらず笑顔のまま、私の前の本棚に寄りかかった。




「ねぇ、水垂れてるよ?」


 さっきみんなで水遊びしていたせいか、ユニフォームがビチャビチャで、短い髪からもポタポタ水が垂れてる。



「あぁ〜、あいつら容赦ねぇから」

 ははっと笑って、頭をプルプル降り始めた。


「ちょっ 冷たいよ!」

「如月も濡れてしまえ!」

「ひゃあっ……もうっ!
 本まで濡れちゃうからっ」


 二人してキャーキャーふざけ始める。



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