ハチミツ×シュガー



 西城くんは私を見つめた後、少し視線を落として一段、一段、階段を上がってきた。


 その姿に私も戸惑いながらも、一段一段下りていく。



 だんだん距離が近づく。



 彼のキレイな顔に、長い睫毛の影が出来てる。

 一歩一歩近づくほどに、私の心臓は壊れてしまいそうなほどの早鐘を打つ。




 この一ヶ月、彼を視界に入れなかった私。



 ……分かってたんだわ。


 彼を視界に入れた瞬間、全ての色がモノクロになってしまう。






 あと、少しで……。



 私と彼が交差する。






 ……すれ違いざま


 彼の左手が、私の左手を捉えた。





< 260 / 771 >

この作品をシェア

pagetop