ハチミツ×シュガー




「俺から逃げやがって」

「いっ いひゃい…」



 両頬を思い切りつねられた。

 一瞬歪んだ顔は、既にそこになく。今は無表情というか、もしかしたら少し、怒ってるような顔。





「……斉藤に頭撫でられやがって」



 ――どうしよう。




 不謹慎かもしれないけど。


 彼の言葉が嬉しくて。
 彼の独占欲が心地良くて。




「……バカ女。何にやけてんだよ」



 ――そんな私の心情なんて、きっと彼にはバレてる。




< 270 / 771 >

この作品をシェア

pagetop