ハチミツ×シュガー





 彼に手を引かれて廊下を歩く。


 向かう先はトイレ。



 軽くお化粧していたからか、涙ですごい事になってる(…らしい)。


 気付いた私は、隠すように俯きながらついて行った。





「ほら、行ってこい」


 うっすら笑うと、私の手を離す西城くん。

 私は俯いたまま、軽く頷いて女子トイレに入って行った。






 トイレに入ると、左手にある流しに急いで向かう。


 鏡を見たら、確かに。


 マスカラは取れてボロボロ。アイライナーはよれて、パンダのようになっていた。



「ゔゔ〜っこれは確かに酷い!」


 こんな顔をあんな至近距離で見られてたなんて……!


 しかも、しかもっ

 キ、キ、キス…とかっ




 ――いやぁぁぁぁああっ!



 トイレで一人、水で顔を洗いながら凹むしかない。



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