ハチミツ×シュガー




 優しく触れた彼の唇。



 何度も、優しく。






「……如月」


 触れた唇が離れて、彼が呼ぶ声がした。




「――泣くな」



 きっと彼は今、困ったような顔をしてる。


 ポロポロ流れる涙を止めることは出来ない。



「ごめ…ズズ……大丈、夫」


 こんな顔、見せられなくて。俯いて、顔を上げられない。




「…如月」



 私を呼ぶ、優しい声。





 ――泣きたくなる。



 幸せ過ぎて……怖くなる。



< 284 / 771 >

この作品をシェア

pagetop