ハチミツ×シュガー
「じゃあ、また明日」
私の頭を優しく撫でて、そのまま十字路を左に歩いて行った。
背筋を伸ばした彼の後ろ姿を、ずっと、見ていたかった。
……でも。
私の目は、彼を見ていない。
「……こ、う…」
皇が…いたから。
「携帯鳴らしても出なかったから、迎えに行こうかと思ったんだ。
……西城と、一緒だったんだな」
皇の漆黒の瞳が、揺れ動く。
私は何を言えばいいのか、言葉が見つからない。
皇はそんな私を見て、『帰ろう』とマンションへと歩いて行く。
私は黙って、皇の後ろをついて行った。
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