ハチミツ×シュガー





ガラガラッ


 いつものように、激しい音を立てながら戸を開ける西城くん。



「おお〜今日は早いな」


 教室の中程で、小沢くん達が私達に気付いて手を振ってる。
 西城くんは私と手を繋いだまま、彼らの席に向かった。

 一歩後ろを歩く私に、刺すような視線が集まる。



 一人は、岬さん。




「よぉ、如月!
 朝から捕まったのか」

 鈴木くんが二ヒヒと笑いながら言ってきた。



「…ははっ」


 苦笑いしか出ない。

 この視線の中、西城くんは何も感じないのかな。


 ……ゆっくり顔を覗いてみると、ん?と目線を私に合わせてくる。



 ――近いっ



「はははっ 彼方!如月がビビってるぞ」


 小沢くんはゲラゲラ笑ってるけど、西城くんは明らかにムッとした。



「あ、違う、のっ

 ち、近かったからビックリしてっ!」


 彼は目を細めて私を見る。



 怖いよぉ――っ




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