ハチミツ×シュガー



「ずっと好きだったのにっ
 彼方の為に可愛くなって……彼方の為に髪伸ばして……っ
 全部!全部彼方のためだったのに!

 何でっ?
 何でこんな女なの?!」



 泣き叫ぶ岬さんの周りに、心配そうに声をかけながら女子が集まり、背中をさすって慰める。


 ……私を睨み付けながら……。





「――で?」



 そんな空気の中。

 西城くんの温度のない一言に、誰もがシン…とした。



「――言いたいことは……それだけ?」


 私の腕を後ろに引きながら、一歩、前へ出た。


 私の目の前には、いつの間にか、西城くんの背中がある。




「――お前の気持ちなんかどうでもいいんだよ」





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