ハチミツ×シュガー



 柔らかく落ちてくる、彼の唇。


 優しく何度も、何度も私の唇を味わう。



 まだ慣れない私は息が出来なくて、彼の胸をギュッと掴んだ。

 その瞬間。大きく息を吐きながら、唇を離した彼。


 私は肩で息をしてる。




「まだ慣れないの?」

 フッと鼻に抜ける笑いを出しながら、私の顔を覗き込む。


 恥ずかしくて咄嗟に俯くけど。すかさず彼が私の顎をとらえ、上に向けた。



「――真っ赤だ」

「うっ……分かってるなら見ないでよっ」


「イヤだ」


 顔を背けようとする私に、真顔で頬を押さえつけると、あと1センチで鼻が当たりそうな距離まで詰める。


 相変わらず、西城くんの睫毛は長い。





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