ハチミツ×シュガー



「……大丈夫か?」


 眉を下げて、心配そうに聞いてきた斉藤くん。



「あらあら、私が居るから心配無用よ〜」


 真弓が私を後ろから抱きしめながらおちゃらけてる。


「お前さぁ…」

 斉藤くんも呆れながら、少し笑ってしまった。


「……ま、なんかあったらちゃんと言えよ」

 そう言って、いつもの爽やかな笑顔で私の頭をポンと叩いた彼。


 ……私は幸せ者だね。
 こんなにも、周りに恵まれてる。




 斉藤くんは自分の席に座り、真弓も自分の席に戻ったので、私もそのまま席に着いて次の授業の準備をした。



「――楓」


 後ろの真弓が私の背中を突っつく。
 振り向くと、指で教卓の方を指さしていた。

 ニヤニヤしながら。


 イヤな予感がするけど……素直に教卓の方へ視線を向けたら――



 予感、的中。



< 314 / 771 >

この作品をシェア

pagetop