ハチミツ×シュガー





「起立、…礼」



 放課後。

 みんなと一緒に帰る準備をしていたら、影が出来て、見上げたら。


「今日も行くのか?」

 西城くんが鞄を持って、私の席の前にいた。


 きっと図書室の事を言ってるんだよね…?

 今日の食事当番は私。
 朝、冷蔵庫の中は空だった。買い物して帰らないとご飯作れない……。


「……図書室だよね?
 今日はお買い物したいから行かないつもりだけど…」


 私が最後まで言い切る前に『分かった』と言って、私の鞄を持ち、スタスタ歩いて行ってしまった。



「ちょっ…えっ?」


 慌てて追いかけたら、

「置いてくぞ。早くしろ」


 一瞬だけ振り向いて、また歩いて行った。

 私はそのまま急いでついて行く。


「西城くん、もしかして……一緒に行ってくれるの?」


「……は?当たり前だろ」

 私の言葉に、呆れたように言う彼。


 私は鞄を受け取りながらニヤケてしまいそうになるのを必死に堪えてた。



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