ハチミツ×シュガー




「楓」



 声に……世界が色をつけた。




「こ…う…?」


 掠れた声。

 皇は心配そうな顔で、私を覗き込んでいた。




 ――私はソファーで知らないうちに寝ねちゃったみたい。



「こんなとこで寝ると風邪引くぞ」


 優しい笑みで私をゆっくりと起こしてくれた。



「――ごめん…」



 私……子供の頃の夢を見てたんだ。


 皇も子供で…――



「ん? どうした?」


 皇が私の視線に気付いて、不思議そうに顔を傾ける。



「皇が家に来たのって……私達がいくつの時だっけ…?」


 俯いて、静かに聞いた。



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