ハチミツ×シュガー




『放課後体育館裏に来い。』



 明らかに、良い話じゃない。

 きっと西城くん絡みの話に違いない。



 前の二人に気付かれないように、そっと息を吐く。


 彼に気づかれないように……どうやって行けばいいの…?

 トイレとお昼ご飯以外、私から離れない彼。
 この手紙の子は知らないのかな……。



「……で…」


 真弓に知られたら絶対騒ぐし……


「――楓!」
「おい」


グイッ

「う、わっ」



 突然腕を掴まれて、大声で呼ばれた私。

 ビックリして一気に思考が戻ると……


「あ……れ?」



 教室のある3階に着いたはずなのに、なぜかさらに上に上がろうと、階段を足にかけてる私が居た。

 後ろには呆れた顔で私を見下ろす西城くん。




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