ハチミツ×シュガー





 時間の早さに気持ちがついていけない。



 ――すでに放課後。


 西城くんへの言い訳が思いつかないまま、気付けば、彼は鞄を持って私の横に立っていた。



「早く用意しろよ」


 いつものように少し呆れた顔で私を急かす。

 いつもの私なら、慌てて用意するけど……今日はそんな事出来ない。




「あのね、今日先生から呼ばれてて……」


 不自然にならないように、嘘だとバレないように。


「時間かかりそうだから今日は先に」「やだ」


「……あの…だから、ね」「やだ」



「………」




 もう……こうなるのが分かってたのにっ!



「待っててやるから早く行ってこい」




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