ハチミツ×シュガー



 突然の声に、ビクリと震えた。

 低い声の主は……



「西城…くん」



 彼に目を向けると……伏せていた目を、ゆっくり上げて私を見た。



「お前が、勝手にした事だよな」

「――西城っ」


 一歩、一歩近づいてくる西城くんを見る事が出来ずに……突差に下を向いた。



「なんで、佐藤を頼らなかった」


 ―――っ


「なんで、俺に言わなかった」


「だっ、て…っ」


 そんなに大きな声じゃない。

 私の鼓膜をこれでもかと震わす彼の声に、顔を上げて声を出すけど……


 ――言葉が……続かなかった。



「なんで俺を頼らなかったっ!」


 彼の傷ついた顔を見たら……言えるわけ、ない。



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