ハチミツ×シュガー




 皇の声。


 皇の、匂い。

 皇の、温もり。




「皇…っ
 私っ……わ…たし!」



 必死でしがみつく私の耳元で、優しい、透き通るような声が聞こえた。



「大丈夫だよ。そばに、いるから」




 ――ああ…


 やっぱりあなたは私の……




「俺が守るから」



 ――その優しい声に、涙が溢れ出る。

 落ち着いてくる、心臓の音。





 涙で歪んで見える皇の肩越しに……


 西城くんが出口に向かう姿が見えた――。



< 353 / 771 >

この作品をシェア

pagetop