ハチミツ×シュガー

ﾊﾟﾗ…



　ページをめくる音だけが響く、この静かな空間が私は好き。



ﾊﾟﾗ…


　図書委員の人も暇なせいか、カウンターで俯せになってる。





　少し薄暗くなったみたいで字が読みづらい。
　そろそろ帰ろうと、本を戻しに席を立った。

　私が借りてる本は古すぎて、あまり出入りの少ない奥の棚にある。


　マニアックな本が多いから私は好きなんだけど。出入りがあまりないせいか、埃っぽい。



「…ｸｼｭｯ」


　くしゃみが出て、まだ出そうだったので目を閉じた。



　……なかなかうまく出てくれない。




　少しモヤモヤしながら目を開けて、本を棚に差し入れようと腕を上げた。




「――如月」



　私の背後から、腕が伸びて……


　本を持ってる私の手を覆った。



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