ハチミツ×シュガー



 食べ終わり紙くずをゴミ箱に捨てると、

「映画始まるからもう行くぞ」

 急に優しい顔で私を覗き込むから……ビックリして仰け反ってしまった。



「――何だよ、それ」


 斉藤くんは面白く無さそうに私の手を引いて歩いていく。

 私は恥ずかしくて、顔が真っ赤になってるのを気付かれないように、俯いて後をついて行く。




 エスカレーターで上の階にたどり着くと、斉藤くんから映画のチケットを渡された。


 ……もしかして、これまで奢り?!


 斉藤くんを見ても、私と目を合わさないようにしてる。




「……ありがとう」


 せめてお礼だけでも伝えなきゃ。



「おう!」


 聞こえたのか、ニカッと笑った斉藤くん。

 彼の可愛い笑顔に、周りの女の子の視線は釘付け。



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