ハチミツ×シュガー



 私の手を優しく覆ったまま、映画を見る斉藤くん。


 私はすでに内容なんて頭に入らなくて。





 ……気づけば、館内にはエンディングが流れていた。




「ああっ 面白かったぁー!」


 周りが帰り始めてる中、斉藤くんは私の手を放して伸びをしてる。




「そ、うだね」



 ――嘘です。

 内容なんて、最初の所しか覚えてない。




 苦笑いで立ち上がりトレーを持とうとすると……

「――俺が持つ」

 私の顔のすぐ横に、斉藤くんの顔が来た。



 あまりの近さに固まって動けないでいると。


「なんだ!斉藤達もこの映画見てたんだ?」


 さっき会った小沢くんが、通路の下から上がってきた。


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