ハチミツ×シュガー



グイッ

「え…っ」


 斉藤くんは、いきなり私の腕を掴んで、そのまま噴水に向かった。



「斉藤くんっ?!」


 私の呼びかけにも答えず、先を歩いてく。


 噴水の周りは丸く縁取ってて、丁度私達の膝あたりまでの高さの段差があった。

 斉藤くんは無言でその段差の上に乗った。
 私は高くなった彼の手に引っ張られるように、一緒に段差に上がる。



「さ、いとうくんっ?
 ……放し、て?」



 彼のいきなりの行動に、私の運動音痴の体が反応するはずもなく……。



「ちょっ……危ないから…!」

 腕を引っ込めようとした私。30センチない足場でヨロヨロした瞬間。



「――ひゃあっ」


 グラリと噴水の方へ倒れた。




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