ハチミツ×シュガー
いきなり手を掴まれると、引きずられるように噴水の中に入った。
バシャバシャと勢い良く水しぶきをあげながら噴水の中央まで行くと、水のカベの中へと入って行った。
「きゃぁっ」
水のカベを通り抜けると、柱に押し付けられて、軽く口を手で塞がれる。
「んうぅ…」「静かにっ」
上から思い切り水をかぶって濡れてしまった。
斉藤くんは私を柱に押し付けたまま、外を見てる。
私には、水の壁が邪魔して外がよく見えない。
人の小さな話し声が聞こえるけど、水の音にかき消されてしまってる。
「…うぅう」「如月」
『斉藤くん』と呼んだ私の声は、彼の言葉に被された。
「――俺のこと、好きになれよ」
口を塞いでいた手を放して、そのまま私の手を強く掴んだ。
「へっ…?」
息苦しさが取れて、間抜けな声が出てしまった。
斉藤くんは構わず……
「俺と、付き合って」
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