ハチミツ×シュガー
23




「……ふぇ…っく……」




 皇……助けて。


 私はまた、傷付けた。


 もう誰も傷つけたくないのに。







ブィ――ブィ――…


 静かな教室に、携帯のバイブ音が響いた。

 もしかしたら、皇かもしれない。


 帰りの連絡してないからかな……。


 私は涙を拭うと、ゆっくり、スカートのポケットから携帯を取り出した。




ピッ

「……は、い…」


 思ったよりも鼻声で……きっと、皇には気付かれてしまう。

 そんな事を一瞬考えてた私の耳には、想像と違う声が響いた。




『……如月…?』



 ――皇じゃ、ない…っ



『さっきは悪かった。
 ……切らずに、聞いてほしいんだ』



 機械ごしの彼の声はなぜか弱々しくて……

 私の胸が、ツキンと痛む。



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