ハチミツ×シュガー



「なぁ、今日の数学の宿題やってきた?」

「……斉藤くん、また?」


 呆れた顔で彼を見ると、ニッコリ笑い、『頼んだ!』と私の肩に手を乗せる。

 私が仕方無いな…と彼に一言言おうとした、その時。



「ねぇ、あれ西城くんじゃない?」

「あぁっ 西城先輩だ!」



 ――え…っ


 私は恐る恐る視線を前に向けると……
 校門に寄りかかり、腕を組んで無言で立っている彼を見つけた。

 ……いや、見つけてしまった。



「あ、彼方じゃん」


 斉藤くんは嬉しそうに駆け寄って行く。


 私は一瞬立ち止まってしまった足を、無理やり前に進めながら校門に近付いていく。




 あと数メートルの距離で足を早めた。




 どうか気付かれませんように……!



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