ハチミツ×シュガー
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「良かったな。西城にちゃんと話せて」
ふわりと柔らかな笑顔を私に向けてくれた。
「皇……私、ね」
「―――…その前に、俺の話を聞いてくれないか…?」
手元のコーヒーに視線を落としながら、静かに話す皇。
私は『分かった』の意味を込めて、皇の続きの言葉を待った。
「俺は……俺達の親父やお袋がいなくなって、正直、楓を守れるのは俺だけだってそればかりだった。
そんなの……思い違いだったんだけどな…」
そう言って、自嘲気味に笑う皇に……私は顔を歪ませてしまう。
「そんな事……」
「俺が守らなくても、楓は自分で強さを身に付けていく事ができる。
俺が今までやってきた事は、ただ、楓を弱くする事でしかなかったんだ。
小さな守られた世界を、西城が……壊してくれた…」
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