ハチミツ×シュガー



「――“皇ちゃん”としては寂しいけど……“兄ちゃん”としては嬉しい。
 まだ気持ちが複雑で、俺自身、よく分からないんだけど――……それでも楓が笑顔でいれるなら、それが一番だから…」


「――皇…っ」


「……だから…最後に、もう一度だけ、『皇ちゃん』て呼んでくれないか…?」



 鼻にかかった声。皇の目が潤んで、涙がにじんでく。



 皇ちゃん……。


 皇ちゃんは、間違いなく私の初恋だったよ。

 私をいつも優しく包んでくれた。砂糖菓子のように、優しく…優しく。




「皇…ちゃん…」



 それは、“お兄ちゃん”になってからも変わらなくて……。



「ありがとう…。
 いつも私を想ってくれて……ありがとう…!」


 そう言った私を、皇ちゃんは、昔のように微笑んで抱き締めてくれた。



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