ハチミツ×シュガー



 あと数歩で校門を過ぎる時。



「如月…」




 消えてしまいそうな、甘い、囁くような声。


 ――あの声が、私の耳に刺激を与える。







「あれ? 如月っ?!」


 通り過ぎる瞬間、斉藤くんの声がした。






「如月……!」




 やめて。


 そんな声で私を呼ばないで。





「…ハァ…ハッ……」




 気づけば――


 私は走り出してた。



< 51 / 771 >

この作品をシェア

pagetop