ハチミツ×シュガー



 ――気づいた瞬間。



「……楓?」


 ボンって音が聞こえるくらい、勢い良く顔に熱が生まれた。



「な、何でもないっ」

「そう?ならいいけど……っていうか!

 もし西城に酷い事されたらちゃんと言いなさいよ?
 アイツ、なんか性格悪そうだし!」


 真弓が鼻息を荒くして怒ってる。けど、そんな心配なさそうかな…。



「あははっ 西城ってば女嫌いで有名だったもんね〜!それを落とした楓ちゃんはすごいよっ」


 亜衣ちゃんは大口開けて笑ってる。

 それからしばらく西城くんネタは続いたけど、少しすると、今度は遊園地の話をし始めた。




 ――そっか…。


 私は西城くんの“特別”なんだ。




 ニヤツいてしまいそうなのを必死に堪えて勉強を続ける私に、

「楓。そこと、そこと、そこ、間違えてる」


 容赦ない皇の一言。



 「はい…」と、消え入りそうな声で、返事を返した。



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