ハチミツ×シュガー
そんな私達の姿をジッと見つめる斉藤くん。
「ねぇ、」
少し抑えた声で、斉藤くんは呼ばれた気がした。
彼は声の方へ少し視線を流すと、彼の横には真弓が立っていた。
「ん? 呼んだか?」
何事も無かったように笑顔で聞くけど――
……真弓の表情は、少し険しかった。
しばらく見つめ合った後真弓の口が開き、
「辛くないの…?」
それは、戸惑いと覚悟をグチャグチャに混ぜ込んだような、不思議な声色で。
斉藤くんの眉が、一瞬下がった。
「ちゃんと……諦めついたの?」
けして好奇心で聞きたい訳じゃない。
ただ、クラスメイトとして、友達として。真弓が純粋に知りたかった事だった。
「どうだか……な…」
斉藤くんが真弓から私達に視線を移して、呟いた。
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