ハチミツ×シュガー
「えっ?!乗らないのっ?」
私は慌てて彼のシャツを掴んだ。
「え――っ!西城くんが馬に乗ったら本当の王子様みたいになって面白いのに…」
私の後ろから亜衣ちゃんがそんな事を言い始めて、途端に苦い顔をした西城くん。
そんな“本者の王子様”的な絵を期待してたのは彼女だけではなく、周りのお客さん達もチラチラこちらを見ながら何かを期待してる感じ。
そんな周りの視線に気付いたのか、急に真顔になり「俺もパス」と、皇と同じ方向へ歩いて行ってしまった。
私は離れていく彼に、寂しくなってしまって「一緒に乗りたかったな」なんて、静かに呟いたら。
彼がいきなり振り返って私の前まで早足で戻って来た。
「あ…っ、え…?」
何か忘れ物かと、キョロキョロしている私の腕をいきなり掴むと。
「後で観覧車乗ろう。二人で」
そう、耳元で囁いて、また離れて行った。
……っていうか…
周りの視線が痛いです。
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