ハチミツ×シュガー



「楓ちゃん愛されてるね〜」


 洋子ちゃんがアイスティを飲みながら一人、静かに言う。


「西城、凄いな。
 如月への気持ちだだ漏れだよ」

 田村くんもその隣でうんうんと顔を縦に振ってる。


 そんな二人の視線の先には、私と西城くんが座って二人で話してる姿がある。






「さっきの要望に応えて、あれ、乗ろう」


 西城くんがアイスコーヒーを飲みながら指差す。
 私はその指の先を辿っていき……


「絶対、イヤ…」


 泣きそうになった。



「俺が隣で手を繋いでも?」

 私の顔をのぞき込むように見る。
 私は顔を下に向けながら、アイスミルクティーをストローで吸う。


「……それでも、イヤ」

 私が口を尖らせて言うと、ははっと笑って私の頭をちょっと乱暴に撫でる。

 私は嬉しくなるけど口は尖らせたまま、気付かれないように俯いた。



< 526 / 771 >

この作品をシェア

pagetop