ハチミツ×シュガー



 西城くんの真っ直ぐな瞳と言葉に、私は真っ赤になって口をぱくぱくさせるしか出来ない。



「行こうか」


 珍しい彼のキラキラ笑顔にクラクラしてる私。
 私の後ろのカップルの女の子が、彼を見てカッコイイって騒いでる。


 それを見て、何故か心がモヤモヤしてしまう。

 彼の手を握り返し、彼の瞳を私も真っ直ぐ見つめ返す。



「早く、行こう?」


 そう言った私に、彼は一瞬で目を見開いて、そのまま私の手を強引に引きながらボートまで歩いていく。

 ……私、何かマズい事言っちゃったの?



 そうこうしてる間にボートに辿り着いた。
 係りの人が1人1人乗って下さいと言うを聞いた私達は繋いだ手を放し、まず最初に西城くんが乗り込んだ。

 続いて私が乗ろうとするけど、正直、怖い。
 少しの境目が気になってしまって躊躇していると係りの人が苦笑いで私に手を差し出した。


 ――と、その瞬間。


「楓」


 彼の鋭い瞳と、低い、声。

 ビクリと震えると、ゆっくり彼が手を伸ばしてきた。




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