ハチミツ×シュガー



 あまりの密着具合に恥ずかしくなり、周りを見渡すけど……。

 なぜかこのボートだけ、ポツンと離れてる。



「――で…」


 声が震える。

 こんな事態を考えもしなかった。こんな、カップルみたいな事……。




「なんだか妬けるな」
「――っ!」



 わざとなのか、偶然なのか。

 私の耳に響かせるような、甘い声で囁く彼。




「確かに片割れには負けるけど……俺も一応、学年で10位以内なんだけど?」

「――そ、れは…っ」

「まぁ、確かに夏休み前は俺達離れたりしてたから無理だっただろうけど。

 如月は……俺と別れてる間、平気だったのか?

 ……俺は、触れたくて。
 この腕に抱き締めたくて……

 気が狂いそうだった」



「―――っ」



 私を抱きしめながら髪に顔を埋める彼。

 横向に座りながら彼に抱きしめられて、私はうまく抱き締め返せなくて……。


 泣きそうになる。



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