ハチミツ×シュガー





 この想いを……


 どうやって伝えたらいいのか、分からない。



 いつもうまく伝えられなくて。

 もどかしくて。



 だから、抱き締めたい。

 私の想いに触れてほしい――…。







「……西城くん…

 私を見つけてくれて、ありがとう…」



 そっと、彼の顔に近づく。




 ……触れた、唇。






 ありがとう。


 私を、皇を、救ってくれて。



 ありがとう。


 こんな私を大事に思ってくれて。





「――楓」



 世界は二人きり。


 彼の想いは、言葉から風になって私の肌を駆け廻る。

 そうしていつも、私の鼓膜を震わせるの。




「――ずっと好きだよ」



< 535 / 771 >

この作品をシェア

pagetop