ハチミツ×シュガー




 みんな少し寂しそうに、暗い夜空を見上げる。


 いま、みんなの気持ちは同じ。

 夏休みも終わりに近づき、まだ夏の匂いが残る中帰らなければいけない寂しさ。



「――またみんなで来たいね」


 気付いたら、素直に出ていた言葉。



 隣にいた西城くんは優しく微笑んで、私の頭を撫でた。

 すると、みんな顔を見合わせて笑って頷いてくれる。



「じゃあ、帰ろっか!」


 真弓が笑顔で歩き始める。その後ろから、みんなもついて行った。

 私がみんなの後ろ姿を見ていると、ギュッと手を掴まれた。



「行くぞ」


 西城くんに手を引かれて歩いて行く。




 騒がしい中、不思議に思っていた。


 いつも気になる周りの視線や言葉が、なぜか今日は聞こえてこなかった。


 ……“なんで”という答えは、なんとなく……


 ――判ってる。




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