ハチミツ×シュガー



カリカリ…カリカリカリ…



 響くのは、私のシャーペンの音だけ。彼は隣で静かな寝息をたててる。




「…ん――っ」


 体が固まってしまって伸びを小さくした。

 そのまま壁に掛けてある時計を見ると……気付けば、1時間ほど問題にかじり付いてたみたい。周りは同じ受験生が何人か増えていた。

 チラリと隣の彼を見るけど、まだ気持ち良さそうに眠ってる。


 ……寝不足なのかな?

 私は何故だか触れたくなって……誰にも気づかれないように、ソッと手を伸ばした…ら――…




「――寝込み、襲うつもり?」


 彼は体勢を崩さないまま、目をうっすら開けて私を見てた。



「えっ ――あっ!」


 どうしようっ


「――おっ襲うわけないじゃないっ」


 私が顔を真っ赤にして言い返すけど。彼は涼しい顔で、

「俺としては起きてる時に襲って欲しいんですけど?」


 ……なんて。


 あり得ないでしょ?!



「――なっ何言ってるのっ?!」



 ……私の声は静かな図書室に響き渡った。



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