ハチミツ×シュガー
西城くんと同じ大学に行けるって分かってたらもっと早くに決めたのに。
……私の勝手な気持ちなんだけどね…。
私が掴んでた袖口を放して俯くと、彼は盛大な溜め息を吐いた。
「『何で言わなかったの?』って、思ってる?」
私の頭上から、彼の静かな声が聞こえてくる。
私は小さく頷いた。
……思うよ。そんなの、当たり前でしょ?
私が泣きそうになって唇を噛んでると、またまた彼が小さく息を吐いた。
「俺だって同じ大学行きたいと思ったよ?
俺がいない学校で……俺の目が届かない場所で男に話しかけられたり、仲良くなったりするお前想像したら、すげぇムカつくし。
……ただ、俺にとってもお前にとっても将来の為に大事な事だから。
俺のせいで進路を決めるなんて馬鹿な事、させたくなかった。
俺自身もまじめに考えて、N大にいるある学部の教授から教わりたいと思ったから……たまたま同じ大学になったんだよ」
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