ハチミツ×シュガー



“けど、N大にするだろうっていう予感はあったけどね”と、最後は意地悪な顔で私を見下ろした。


 ……私の考えや行動なんて、全てお見通しって事?


 腑に落ちない私に、彼はゆっくり唇を落とした。



「ん…っ」


 私は廊下という事を思い出して、慌てて彼の胸を押し出す。

 ――すると、彼は拍子抜けするほどそのまま簡単に離れた。
 いつもならムッとする彼だけど、今は嫌な顔一つせず、優しい笑顔で私を見下ろしてる。



「楓……これから大学に行ったら学部は違うし、多分勉強に忙しくて今までみたいに傍にいてやれないかもしれない。
 けど、将来の為に4年間を有意義に使いたいんだ。

 学歴だけじゃなくて、社会人になってからの為……目標に近付く為の、自身のスキルアップをしていきたい。


 お前との、未来の為に」




 ――それ、って……っ



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