ハチミツ×シュガー



「だからお前は大学でゆっくりキャンパスライフを楽しめばいい。

 どうせ卒業したらすぐ専業主婦になるんだから」




 ……何デスか?

 その一方的な未来予想図は……。




「……OLは経験出来ないの?」


 私の言葉に、彼が無表情で見下ろしてきた。


 ――何…っ?


「まぁ、働いてみたいなら子供出来るまで働いたら?
 そのかわり、俺の秘書だけどな?」


 言って、右の口角を上げ、ニヤリと笑った彼。



 正直、ありえない。


 ありえないけど――…



「もう帰るぞ」


 彼がさっきまでの表情が嘘のように微笑んで、私に手を差し伸べた。



「……うん」


 ――ほら。

 彼の笑顔を見てしまったら……何も言えなくなっちゃうでしょ?



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