ハチミツ×シュガー




 1年の時に亜衣と田村くんと同じクラスだった彼は覚えてる。


 真っ黒な髪に同じ色の瞳。切れ長の瞳は人を寄せ付けない感じ。
 入学式の時、先輩達が騒いでいたのはきっと彼の事だろう。



 ――あと、“彼”もだ。


 もう一人。
 私達と同じ中学にも『カッコいい!』と騒がれていた男の子がいた。
 その子もこの学校に入ったからきっと、2人騒がれてたはず。



「……西城くんを思い出すね…」


 クラスを見渡すと、確かに女子はキレイな子を見てキャーキャー騒いでる。



「あはっ 確かに!
 皇と西城似てるかもね」


 亜衣が苦笑いで私を見てきた。
 けど、私の視線は彼……“皇”くんに向けてる。


 彼は騒がれている事に絶対気付いてる。

 だからかな?
 同じクラスになって1週間。彼が話す女子は亜衣だけ。



 本当に似てる。西城くんに―――…



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