ハチミツ×シュガー




 廊下は予鈴が鳴ったからか、生徒はほとんど出歩いていない。

 私が静かに階段を下り始めたら、下からパタパタと階段を駆け上がる音が聞こえた。


 ――と、その瞬間。


ビタンッ

「いっっっ!」



 ……女の子の声?



 そのまま急ぎ足で下りると、ちょうど階段の途中でうずくまってる女の子がいた。



「――大丈夫っ?」


 私の声にピクリと反応した彼女。ゆっくり顔を上げる彼女を見たら、見覚えある女の子だった。



「あ…大丈夫……」


 女の子は静かに言って立ち上がろうと体を起こすけど。


「――いたっ」


 すぐにしゃがんでしまった。



「ね、もしかしたら足挫いたんじゃない?
 丁度いま保健室行こうとしてたとこだから、一緒に行こう?」



 そのまま彼女に手を差し出した。




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