ハチミツ×シュガー



カタン…


 私の椅子を引いた音に、ピクリ体が反応して、彼はゆっくりと視線を私に向けた。



「え、と……これからよろしくね?」


 私は何とかさり気なく挨拶をする。

 でも。彼はジッと私を見つめたまま、目をそらさない。



「あ、と……何か、ついてる?」


 んなわけないと分かりながらも、尋ねてみる。―――と、


「藤井、楓を助けてくれただろ?
 ありがとな」


 さっきまでの真顔が嘘のように、キラキラ笑顔で私に言ってきた。



「――王子さま…!」


 たまらず私が小声で叫んだ言葉に彼は一瞬で眉を寄せる。


「あっ あのっ何でもな」


 『い』という言葉を言わないうちに、アタフタした私が机の中身をどうゆう奇跡か、ズサササーと落としてしまった。



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