ハチミツ×シュガー



 ……え、何?


 意味が分からず私の机に乗ってるノートを見た瞬間、


「じゃー、次は…藤井!
 藤井、問2を答えろ」


 ――しまった!

 まだ授業中だった!



 慌てて立ち上がり、キョロキョロ目を泳がせてると……コンコンと、小さな音に気付く。

 机を見下ろすと、さっき渡されたノートのある部分を、隣の彼がシャーペンでコツコツ叩いてた。


「……」


「どーした?藤井」


 先生が急かすように、私を追いつめる。




「……聞いてませんでした」



 私の一言に、先生は「立ってろ」そう言って、授業を進めた。

 私は気付かれないように、机に置いてあった彼のノートをそっと返した。
 彼は真顔で私を見るけど目を合わせず、私はすぐ黒板に目を向けた。




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