ハチミツ×シュガー



「もうっ 何で皇が助け船出したのに答えなかったの?」



 放課後、ダラダラと教室に残って私達は話をしていた。

 亜衣は呆れながら私の前の席に座り、ポッキーを口にくわえる。



「――だって、嫌だったんだもん」

 私も箱から1本取り出して口に入れた。


「……そんなに皇が嫌いなの?」


 急に真面目な顔で、私を見つめる亜衣。
 私はフッと笑って、

「違うよ。ただ人に答えを教えてもらうのが嫌だったの。
 話を聞いてなかったのは事実だし、ズルしたくなかっただけ」


 亜衣の問い掛けに私は思った事を正直に伝えて、2本目を手に取り、口に入れようとした瞬間。


「…へぇー 藤井、真面目なんだな」


 私の後ろから、知ってる声が聞こえた。


「洋子、今日は散々だったな」

 田村くんが苦笑いでこちらに向かってくる。
 最初の声の主は、私の隣に座って帰る用意をし始めた。



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