ハチミツ×シュガー



「如月くん…さっきは」

 『ありがとう』と私が言おうとしたのに。


「藤井、楓が…妹が足を挫いた時、助けてくれただろ?

 ありがとな」


 ……先を越されてしまった。


 しかも、そんな前の話。
 ――ていうか。やっぱりあの子、妹だったんだ…。



「ね、如月くんの妹さんて……西城くんと付き合ってるの…?」


 私が言葉にした途端、亜衣と田村くんは息をのんだ。

 私も最後の方は声が掠れてしまったかもしれない。



 私の質問に、顔色一つ変えず彼は、


「んなわけ、ないだろう?」


 ただ、ただ、冷たい声で答えた。





 その声に、何故か安心してしまった。




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