ハチミツ×シュガー




 ――考えて、やめた。


 私には関係無いし。


 すでに季節は春から夏に変わろうとしてる。

 もう、あまり考えるのは良くないよ、私。



「私、トイレ行ってくる」


 気持ちを切り替えようと、教室を後にした。

 そしてそのまま廊下を歩いてトイレに向かう途中。



「――あ、」


 彼女を見つけてしまった。


 向こうも私に気付いたみたいで、軽く会釈する。


「……」


 失礼だと思ったけど、まじまじと見てしまった。

 彼女は俯いて、そのまま早歩きで私の横を通り過ぎる。




 その瞬間、予鈴のチャイムが鳴った。



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